美術館と宮殿

国立馬車博物館（Museu Nacional dos Coches） この馬車博物館は、ポルトガル王カルロス1世（1889－1908）の妻であるオルレアン・ブラガンサ家のアメリア王妃の提案でつくられました。1905年の落成式には王妃自らが参加しています。この博物館は、華麗な装飾をほどこした17世紀から19世紀の上流階級の乗り物（大型四輪馬車、箱馬車、常用馬車、二輪馬車、こし、かご）を集めた、他では見ることのできない貴重なコレクションを所有しています。

これらの乗り物は、自動車が出現するまで、ポルトガルをはじめとするヨーロッパ諸国の宮廷や、リスボンの高位聖職者、ポルトガルの貴族によって使われていたものです。この素晴らしい展示品の中でも、希少価値の高いフィリップ2世の長距離用四輪馬車（16世紀後半）、ポルトガルからローマ法王クレメンス11世のもとへ送られた使節団が使用した記念すべき3台の馬車（1716年）は特に見逃せません。使節団の馬車には、金で装飾された木製部分に、ポルトガルによる「発見」を賛美する図柄が描かれています。馬車博物館はベレンの新しい建物と、アフォンソ・デ・アルブケルケ広場にも、ヴィラ・ヴィソーザのドゥカル宮殿にもある王宮の旧乗馬競技場に分けられています。

馬車博物館（Museu dos Coches）は、ベレンの新しい建物と王宮の旧乗馬競技場に分けられていますが、それらはリスボンのアフォンソ・デ・アルブケルケ広場とドヴィラ・ヴィソーザにあるドゥカーレ宮殿にあります。

新しい国立馬車博物館の建物は、2015年5月に落成し、ここではコレクションの多くの代表的な部分を保有しています。この博物館は、以前軍の工場（Oficinas Gerais do Exército）があったベレンの町の一角を占めており、文化的施設と公共スペースの2つの目的を担っています。プリッツカー賞を受賞した建築家でこの建物を設計したパウロ・メンデス・デ・ロシャの言葉によれば、「この博物館にはドアがなく、あらゆる面での触れ合いの機会を作り出しています。」しかしこのプロジェクトは博物館だけが目的ではなく、「公共スペース」がある町を提供する都市インフラストラクチャーとしても機能し、展示エリアと技術サポートインフラストラクチャーを拡張するという博物館のニーズに対応し、また訪問者によってこれが最も訪問者の多い博物館と認識されるための新しい側面を作り出しています。その構造は、メインの建物とそれに付随したホールと別館からなり、これらは高架でつながっているため人々はある場所から別の場所へと移動することができます。建物のレイアウトは、自由にアクセスできる内側の広場に向かっている一種の柱廊を形作っています

新しい博物館には常設展示および期間限定展示のためのスペースや、予備のコレクション用のエリア、さらには保存・修復のための作業場もあり、ここはこの種の遺産の保存・修復の開発に貢献しています。また、ここには図書館や保管所のための新しいスペース、330座席のホール、レストラン/バーとカフェテリア、ギフトショップもあります。

王宮の乗馬競技場エリアは、最初は建築家、ロセンド・カルヴァルヘイロ、その後ラウル・リノにより博物館として建てられましたが、見て興味深く、18世紀を代表する建造物でした。ポルトガルの重要な2人の画家、ジョゼ・マリョーアとコンセイサン・イ・シルヴァの絵画は特筆に値します。

ヴィラ・ヴィソーザにあるドゥカーレ宮殿のかつての厩舎には、国立馬車博物館の支所もあり、アレンテージョ地方のこの市を訪れるように促す説得力のある理由となっています。