美術館と宮殿

アヴェイロ博物館（Museu de Aveiro） アヴェイロ博物館は、15世紀に建造されたかつてのジェズス修道院（Convento de Jesus）を利用した博物館です。ジェズス修道院は、アフォンソV世の娘ジョアンナ王女が入っていたことで知られる修道院です。ジョアンナ王女は、1490年にこの修道院で亡くなり、1673年に聖ジョアンナとなりました。ここには王族が暮らしていたことを物語る重要なものが2つ残されています。ひとつはジョアンナ王女の墓で、王室付きの建築家ジョアン・アントゥネスの設計によって18世紀前半につくられた、素晴らしい作品です。もうひとつは王女の肖像画です。これはヌーノ・ゴンサルヴェスとその弟子たちの作品といわれており、高貴な衣装に身を包み若さの絶頂にありながら、その表情に悲しみと諦めをたたえた王女が描かれています。修道院の教会には、タイルのパネルに覆われた壁に、聖ジョアンナの生涯を物語る6面の絵が飾られています。 この美術館は、1834年の修道会・教団の解散命令によって消滅した修道院や宗教施設から集められた美術品を収納するために、1911年に創設されました。絵画、彫刻、木工品、タイル、金銀細工、祭服、金糸の刺繍がほどこされたアンテペンディウム（祭壇の前飾り）、極めて稀少価値の高い15～16世紀の写本（この修道院の設立と聖ジョアンナの生涯に関する写本を含む）など重要なコレクションを所有しており、この地域を訪れる際には見逃せない場所となっています。 建物の中には古い修道院の生活の面影を残す場所があり、展示品と同じくらい興味深いポイントです。玄関ホール、金に塗られた木造部やタイルが美しい礼拝堂が複数設けられている回廊、教会の1階部分の聖歌隊席、きらびやかな2階の聖歌隊席などがあります。1階の聖歌隊席は、修道女たちが一般の信者たちと格子をへだてて礼拝に出席するために使用されていました。