地形と気候条件が非常に多様であるため、ポルトガル中部地方では、地元料理に非常に良く合う素晴しいワインが生産されています。

バイラーダ (Bairrada) ワイン
海とブサコ山脈 (Serra do Buçaco) の間に広がる海岸地区のバイラーダ (Bairrada) 地区は、大西洋の影響を受け、豊富な雨量と温暖な気温に恵まれています。この涼しく湿気の多い気候が、スパークリングワインの製造に理想的な、非常に酸味が強くアルコール成分の少ない葡萄を生み出します。1890年、この種類のワインがポルトガルで初めて生産された場所がこの地域でした。この地域の名物である仔豚料理にぴったり合う「ドライ」品種は特筆ものでした。

バイラーダ (Bairrada) では、淡黄色でフルーティなアロマの白ワインも製造されています。赤ワインでは、ガーネットからルビーの色が熟成とともにブランデーのように茶色がかった色合いに変化します。アナディア (Anadia) のバイラーダワイン博物館 (Museu do Vinho da Bairrada) でこうした歴史のエッセンスを学ぶことができます。または、生産地である農場やワイナリーを見学するのもお勧めです。伝統的なセラーで生産されているもの、著明な建築家が設計した現代的な施設で生産されているものなどさまざまです。

ダン (Dão) ワイン
ポルトガルで2番目に原産地呼称管理地域として指定されたこの地は、1908年、内陸部のダン (Dão) 川からその名が付けられました。これらのワインの素晴しさが認識されたのは、12世紀の王朝設立の時代に遡ります。この時代、聖職者、特にシトー修道会が農業を促進していました。御影石と片岩の土壌で育つダン (Dão) の葡萄畑がこの山河地帯に広がっています。またこの地域は、ブサコ (Buçaco) 、カラムーロ (Caramulo) 、モンテムーロ (Montemuro) 、そしてエストレラ (Estrela) の山々により大西洋の海風から守られています。

地のワインのアルコール度数は12度で、瓶の中でも十分に熟成します。白ワインは淡黄色でフルーティなアロマを持ち、赤ワインはフルボディでベルベットな調和性を持ち、時間の経過とともにアクセントのきいたブーケ (香り) が生まれます。これらの特徴をもっと堪能するには、フォンテロ (Fontelo) の前主教の公邸にあるヴィゼウ (Viseu) のソラール・ド・ヴィーニョ・ド・ダン (Solar do Vinho do Dão) に足を運ぶのが一番です。あるいは、ヴィゼウ (Viseu) 、マングァルデ (Mangualde) 、ネーラス (Nelas) 、トンデラ (Tondela) 、サータン (Sátão) 、ペナルヴァ・ド・カステロ (Penalva do Castelo) 、サンタ・コンバ・ダン (Santa Comba Dão) 、カレガル・ド・サル (Carregal do Sal) の市町村に広がる生産者のワイナリーをお勧めします。

ベイラ・インテリオル (Beira Interior) ワイン
まだ他にも原産地呼称管理地域に指定されている地域があります。カステロ・ロドリゴ (Castelo Rodrigo) 、コヴァ・ダ・ベイラ (Cova da Beira) 、ピニェル (Pinhel) の小地区を含むベイラ・インテリオルです。この地域では、温度が冬には零下になり、また夏は暑く乾燥する厳しい気候の400～700メートルの山の中で葡萄が成長します。これらの要因が絡み合って非常にフレッシュなワインが生まれます。広範な品種の葡萄が使用されるため、新しいアロマと香りの発見が常にあります。

このように、こうした発見があるからこそ、ワインを味わい、堪能し、乾杯しながらこの地域についてさらに知りたくなるのです。