場所

ヴィゼウ
一説によれば、町の名は「よい眺め」を意味するローマ人の言葉「ヴィゾ」（viso）に由来すると言われています。事実、ローマ時代に町の礎が形成された最も高い地点から、ヴィゼウ（Viseu）の町は実にすばらしいパノラマを呈し、訪れる者の目を楽しませてくれます。

この時代から伝わるものとして最も興味深い例が、町のはずれにあるカヴァ・デ・ヴィリアート（Cava de Viriato）です。これは、紀元前1、2世紀にさかのぼるとされる築堤です。いまだにその全体像が明らかにされていないにもかかわらず、現存するこの時代の遺跡としてはイベリア半島最大のものです。ルジタニアの族長であり、ローマの占領に対する抵抗運動の英雄的指導者であった戦士ヴィリアート（Viriato）が、防御のためたてこもった要塞であったと考えられています。12世紀、町には税を免除された市を認める勅許が発布され、以来、現在にいたるまで市が8月、9月に開催されています。これはサン・マテウスの市（feira de S. Mateus）として知られ、この町最大のイベントの1つとなっています。

町には数多くの緑豊かな公園があり、たいへんさわやかな、心地よい環境を作り上げています。さらに、史跡という点からも豊かな遺産に恵まれています。なかでもその代表が、カテドラル（Sé）とミゼリコルディア教会（Igreja da Misericórdia）です。

ポルトガル美術史上最も重要な画家の一人であるヴァスコ・フェルナンデス（Vasco Fernandes）は、16世紀にこの町に生まれました。彼はグラン・ヴァスコ（Grão Vasco）（「大ヴァスコ」の意）として知られるようになり、この地に一大画壇を築きました。その作品の多くは、彼の名を冠した当地の美術館で鑑賞することができます。

ヴィゼウは、この地域を流れる川にちなむ名を持つワイン産地管理呼称地域の中央に位置しています。その名は—ダン（Dão）です。この地域で生まれるワインは赤、白、ともに大変質が高く、子牛のロースト、ラフォンエス風に代表される土地のすばらしい郷土料理と好相性です。