ポルトガルのワイン・ルートを進む
「コンデナスト・トラベラー… が見るポルトガル」
ワイン・ツ-リズムはポルトガルでは非常にオシャレです。それはブドウの木について学びワインを試飲するだけではありません。なぜなら、画期的な観光施設がブドウ園の周りに誕生しているからです。そこでは五感のすべてを使って学び楽しむことができます。ワイナリー、レストラン、ワインバー、ワイン・ルート、そしてブドウを用いた美容トリートメントが受けられるモダンなワイン・スパは、ワイン・ルートで出会うことのできる誘惑のごく一部です。ブドウ園はミーニョからファロまでの丘陵と平原いっぱいに広がっています。そのワインを通じてポルトガルを知ることは楽しいことであり、この国の文化に接する方法として、他のツアーとは異なる趣を持っています。
1) 北部地方:ヴィーニョ・ベルデ
この地方の軽く、コクのある、さわやかで多分に官能的なワインは、魚介類と魚料理にぴったりです。ドウロからミーニョまで延びるこのブドウ園では、ガリシアと国境を接するヴァレンサの絵のように美しい街の近くにある格子をブドウのつるが這い登り、バルセロス、ブラガ、そしてユネスコにより世界遺産に登録されているギマラインスの風格のある都市を通って南に続いています。
カーサ・ダ・トーレ
www.adegacasadatorre.com
ソウザ・ロペス家がすべて所有しているキンタ・ダ・カーサ・ダ・トーレ、キンタ・ド・クルゼイロ、およびビキンタ・ダ・センラのワイン生産を組み合わせようとするプロジェクトが、最近ヴィラ・ノヴァファ・ド・ファマリカォンで始まりました。このワイナリーは慎重に木で建てられおり、農場とワイン・ツアーの複合施設を持つ建物群となっています。設計は建築家のカスタニェイラとバスタイです。
2) ドウロ川:ポートワインとドウロワイン
ポートワインはドウロ川の両岸で生まれます。ここは世界で最も古い原産地呼称管理ワインの地域で、その名声は1756年以降高まりました。最近近代化されたドウロワインはゆるぎない評価を受けています。そして、ほとんどがティンタ・ロリス (スペインのテンプラニーリョに匹敵) とトゥーリガ・ナショナルのなどの赤葡萄の種から作られています。ユネスコにより世界遺産に登録されたドウロ渓谷は、車、電車、または船で観光することができます。
2つのワイナリーとワイン・ホテル
キンタ・ド・ポルタル (Quinta do Portal)
www.quintadoportal.com
著名な建築家アルヴァロ・シザ (1992年にプリツカー賞を受賞) により設計されたこのモダンで画期的なワイナリーは、この地域で最も観光客を集めるワイナリーの1つです。その理由は、そのロケーションと、ドウロ川の支流ピニャン川の両岸に広がるブドウ園の付近に作られたワイン・ツアー施設の立地の良さにあります。このキンタはドウロ、ポルト、ムスカテルのワインを生産しています。
キンタ・ド・ヴァラード (Quinta do Vallado)
www.quintadovallado.com
コルゴ川両岸にある優美な18世紀の私有地の施設を利用して、現代的な観光施設が建築されました。その中ではワインが重要な役割を演じています。ブドウ園のツアー、ワイナリーの見学、ワインの試飲、ボートでのクルージングなど、多くのアクティビティが他にはない自然環境の中で楽しめます。ハイライトは、ルイ・パウラシェフが運営する料理の美味しい DOC レストランです (「レストラン」の項を参照)。
アクアプラ・ドウロ渓谷
www.sixsenses.com
ここはキンタ・ド・ヴァレ・アブラオンのワイン生産農場の一部で、見事に復元された 19世紀の家屋があります。そして庭園とブドウ園に囲まれ、部屋が50室、ヴィラが21棟あります。この施設全体が川に面しており、極めて友好的な風景の中心地にあります。ここではあらゆるスポーツを楽しむことができ、スパではさまざまなセラピーを受けることができます。ワインに関するアクティビティは、試飲、ツアー、講座などです。
その他お勧めのワイナリー
キンタ・デ・ナポレス (Quinta de Nápoles) - www.niepoort-vinhos.com
キンタ・ド・セイショ (Quinta do Seixo) - www.sograpevinhos.eu
キンタ・ド・ナヴァル (Quinta do Noval) - www.quintadonoval.com
3) ポルトガル中部地方
ダン川は内陸部の山々の間を流れ、12世紀からブドウが栽培されている狭い谷を形成しています。主なブドウはトゥーリガ・ナショナルで、ダンはそのワインが柔らかくエレガントでため非常に強くアピールしているワイン地区の1つと考えられています。
キンタ・ド・エンコントロ (Quinta do Encontro)
www.daosul.com
木製の小割り板で建てられた印象的な丸いワインセラーは、ポルトガルの他の場所で感じるものとは非常に異なるイメージと哲学を持っています。建築家ペドロ・マテウスによる設計で、この地域のワイン・ツアーの重要な中心地となっています。ここではガイド付きツアーとワインの試飲を楽しむことができます。また、現代的なスタイルで地域の料理を提供するモダンなレストランもあります。
リスボン地区
この国で最高のマルカテルはセトゥーバル半島で生産されます。19世紀から有名になりました。ブセラスは最高の白ワインが生産されることで評価されています。一方、シントラの中心地にあるコラレスは、ネアブラムシの疫病を免れたヨーロッパで唯一のワイン生産地区です。接ぎ木されなかったその株は、非常に特別なワインを生産します。
タグス川の両岸には、ヴィーニョ・ド・テージョの DOワイナリーが広がっています。このワイナリーのワインはアロマティック・ワインで、軽いワインにも、非常にコクのあるワインにもなります。
4) アレンテージョ・ワイン
この地域のワインは強烈でパワフルな特徴を持ち、ポルトガルでも最高のワインです。カステロ・デ・ヴィデ、マルヴァオン、ポルタレグレ、クラト、そしてアルテール・ド・ションは、北アレンテージョの歴史と伝統を受け継ぐ場所です。
次の3つのワイン・ツーリズム施設があります。
エルダーデ・ド・ロシン (Herdade do Rocim)
www.herdadedorocim.com
現代的な建築のモダンなワイナリーで、独自のワイン生産と次のような関連アクティビティを1つにしています。試飲、会議、ウォーキング….アレンテージョのワインに関する視野と知識を広げるにはもってこいの場所です。
エルダーデ・ダ・マーリャディーニャ・ノヴァ (Herdade da Malhadinha Nova) のカントリー・ハウスとスパ
www.malhadinhanova.pt
背景としてブドウ畑とワインを使ったここだけの経験をすることを目的としたユニークなリゾートです。その一方、ゲストがそれぞれ独自の情熱にふけることができるようにお手伝いします。絵画、料理、乗馬、写真、ワインと田舎道の冒険に特化して、毎週テーマを設定しています。シェフのジョアシン・コエルペルは、その高級レストランでのメニューに力を注いできました。スパでは豊富な療法メニューを用意しており、ワイナリーではワインの試飲やワイン製造の講座を用意しています。収穫や農場の仕事に参加することもできます。
L’AND ブドウ園ワイン・リゾート
www.l-andvineyards.com
アレンテージョの中心地にあるこのホテルには現代的なデザインが施されており、ブラジルの建築家マルシオ・コーガンの作品です。これは、ポルトガルのワイン・ツーリズムの「ビフォー」と「アフター」を象徴しています。数ヘクタールあるブドウ園と、湖と中世のモンテモール城を一望する素晴しい眺めに囲まれたこのホテルにはスイートが22部屋あり、その一部にはベッドの上に窓があり、星を眺めながら眠ることができます(スカイ・スイート)。この建物の構造は、ローマまたはアラブの別荘の様式を思い起こさせます。すなわち、中央の庭園が建物の中心として機能しています。スパは一流のフランスのブランド、コーダリーのトリートメントが受けられます。このブランドはワイン・セラピー (ブドウとその派生物を利用したスキンケア) のパイオニアで、検討すべきアクティビティの1つです。料理はもう1つの魅力です。美食のプロは近代的なスタイルで地域の料理を提供することができます。エコロジカルな、あるいはバイオダイナミック農法による食材を遣い、東洋的風味 (インド、中国、タイ、日本) を効かせた料理です。アクティビティにはブドウ栽培とワイン製造の講座、付近の街へのガイド付きツアー、ブドウ園とコルク樫の植林を見下ろす気球ツアーなどがあります。ゲストはワインの試飲や調理コースも参加するよう案内を受けます。ここだけのワイン・クラブに参加するチャンスもあります。